「寒い季節は魚が釣れない…」と感じて、釣行を諦めてしまっていませんか。実は同じ悩みを抱える釣り人はとても多いんです。しかし実を言うと、冬こそ堤防でのライトゲームが最強の釣りなんです。ライトゲームとは軽いルアーで手軽に狙える釣り方のことで、条件さえ揃えれば冬でもしっかり魚が狙えます。
一般的にもライトゲームは冬でも釣果を出しやすいとされ、多くの釣り人に実践されています。この記事では、冬の堤防ライトゲームの始め方を徹底解説します。冬でも狙える魚の種類や、初心者に優しい理由、必要なタックル、釣り場選びのコツから基本アクション、時間帯と潮の話、さらに初心者が陥りがちな失敗と対策、防寒や安全対策まで網羅しています。
この記事を読めば、寒い冬でも堤防ライトゲームで魚を釣るためのコツがすべて分かり、あなたもオフシーズンなしで釣りを楽しめるようになります。冬だからといって釣りを休む必要はありません。結論として、冬こそライトゲームを始める絶好のチャンスです。それでは、冬の堤防ライトゲームの魅力とノウハウを詳しく見ていきましょう!
冬の堤防ライトゲームが初心者に人気の理由
冬の堤防ライトゲームとは、寒い季節でも港や堤防で軽量ルアーを使って手軽に魚を狙う釣りスタイルです。一般に冬は釣れないと思われがちですが、ライトゲームに限って言えば「冬でも釣れる釣り」として注目されています。ここでは冬のライトゲームが最強と言われる理由と、初心者に人気のポイントを解説します。
ライトゲームは“冬でも釣れる釣り”として最強
冬場のルアー釣りは厳しい印象がありますが、ライトゲームだけは例外です。なぜなら冬になるとフィッシュイーター(小魚を捕食する魚)が港内に集まりやすいからです。外海の水温低下や荒れた天候を嫌って、多くの魚が穏やかな湾内や堤防周りに集まる傾向があります。また、ライトゲームで使う小型ルアーは警戒心の強い魚にも口を使わせやすく、スレた魚に対しても効果的です。冬の魚は動きが緩慢ですが、小さなルアーをゆっくり見せれば思わず反応してしまいます。
さらにライトゲームは昼でも夜でも成立しやすい釣りです。昼間はボトム付近で根魚が狙え、夜は常夜灯周りに集まる魚を狙えます。つまり冬でも一日中何かしらの魚と出会える可能性が高いのです。「寒い季節=釣れない」はライトゲームには当てはまりません。条件を揃えれば、冬のライトゲームはむしろ釣果を独占できる最強の釣り方と言えるでしょう。
冬でも狙える魚が多い
「冬は魚がいないのでは?」と思われがちですが、堤防ライトゲームで冬でも狙える魚種は意外と多いのが特徴です。代表的なのはメバルやカサゴといった根魚、そして地域によってはアジやセイゴ(スズキの幼魚)もターゲットになります。これらの魚が冬の堤防に残る理由は、水温が比較的安定するポイントに集まる習性にあります。例えば岸壁際の障害物周りや、水深のある船道(航路)は水温変化が少なく、魚にとって居心地が良いのです。また常夜灯の明かりでプランクトンや小魚が集まるため、それを狙ってフィッシュイーターも集結します。
さらに、低水温を好む魚も存在します。メバルなどは水温が下がる冬こそ活性が上がり始める魚で、冬から春先にかけてシーズンインと言われます。カサゴなどの根魚も寒さに強く、一年中堤防に定着して餌を食べています。アジは群れが小規模になりますが、その分サイズが大きくなる傾向があります。セイゴ(小型のシーバス)も大きな個体(スズキクラス)が沖に出る冬場でも港内に残り、小魚やエビを追って浅場に姿を見せます。このように冬でも釣れる魚が意外と多いため、ライトゲームならオフシーズン知らずで楽しめるのです。
初心者向けである3つの理由
堤防ライトゲームは冬に強いだけでなく、初心者に向いている釣りとしても人気があります。その理由は主に次の3つです。
- 軽いタックルで疲れにくい: ライトゲーム用のロッドやリールは非常に軽量です。長時間構えていても腕が疲れにくく、寒い冬でも負担が少ないメリットがあります。重装備の釣りと違い、軽装でサッと始められる手軽さも初心者には嬉しいポイントです。
- 足場の良い堤防で完結: 堤防や港内が主な釣り場なので、足場が安定していて安全に釣りができます。防波堤から狙うため、高いテクニックがなくても魚にアプローチしやすく、初心者でも安心して釣りに集中できます。冬場は釣り人も少なめなので、のびのびとキャスト練習ができるのも利点です。
- 釣れやすい魚が多く結果が出やすい: ライトゲームではターゲットとなる魚種が豊富で、小物中心とはいえ何かしらヒットしやすい釣りです。いろいろな魚が釣れる=ボウズ(無釣果)になりにくいため、初めてでも結果が出やすいのです。小さなアタリ(魚信)も多く得られるので、釣れなくても「魚からのコンタクトが多い」こと自体が面白く、飽きずに続けられます。こうした理由から、冬の堤防ライトゲームは初心者にピッタリの釣り方として人気を集めています。
冬のライトゲームで釣れる魚まとめ
冬のライトゲームで初心者が狙いやすい魚をまとめて紹介します。寒い季節でも比較的釣れやすく、堤防から手軽に狙えるターゲットばかりです。それぞれの魚の特徴と狙い方のポイントを見ていきましょう。
メバル
メバルは「冬のライトゲームの王様」とも呼ばれるほど、この季節に本格シーズンインする代表魚です。気温・水温が下がると活性が上がる珍しい魚で、寒い時期こそ大いに狙い目です。メバルは夜行性で夜の常夜灯周りが鉄板ポイントになります。港の明かりに集まるプランクトンや小魚を捕食するため、明暗の境目あたりでルアーをゆっくり引くとヒット率が高いです。もちろん昼間でも釣れますが、昼はテトラポッドや桟橋の下など障害物の陰に潜んでいます。日中狙う場合はそういった障害物周りを丁寧に探るのがコツです。冬のメバルはサイズも20cm超えが増えて引きも強烈。初心者でも釣りやすく、釣って楽しく食べても美味しい人気ターゲットです。
カサゴ(ガシラ)
冬の堤防ライトゲームで釣れたカサゴ(ガシラ)。根魚の代表格で初心者にも釣りやすいターゲットです。
カサゴは地域によって「ガシラ」とも呼ばれる根魚で、一年を通して堤防に居つく身近な存在です。冬場も活発にエサを食べるため冬でも安定して釣果が期待できる魚の一つです。特にボトム(海底)付近を狙えば初心者でもヒットさせやすいでしょう。堤防の際やテトラ帯の隙間などに潜んでおり、1~2g程度のジグヘッドリグを底まで沈めてチョンチョンと誘うとガツンと当たってきます。カサゴはそこにさえルアーを落とせれば比較的簡単に釣れるので、冬に初めて魚の引きを味わいたい方には最適です。ただし棘に毒があるので針を外す際は要注意。寒い夜でもボトム攻略で手堅く釣果を出せる頼もしいターゲットです。
アジ
アジもライトゲームで人気の魚ですが、冬は地域差が出ます。暖かい地域では冬でも回遊しており、釣れれば型(サイズ)が良い傾向があります。秋まで大量に釣れた小アジは減りますが、生き残った中〜大型のアジが狙い目です。特に夜のアジング(ルアーでアジ狙い)は冬でも好シーズンと言われ、20cmを超える良型の群れに当たることがあります。狙うレンジ(層)は中層からやや表層寄りが多く、常夜灯の明かりにプランクトンが集まる場所ではアジも浮き気味になります。冬は群れの密度が低い分、回遊してきてもすぐ移動してしまうため、群れが通るタイミングを逃さないことが重要です。一方、寒冷地ではアジ自体が少なくなることもあります。そのため地域によりますが、もし冬にアジが釣れるエリアであればぜひ狙ってみましょう。ヒットすれば引きも強くサイズも良いので、寒さも吹き飛ぶ嬉しい一匹となるはずです。
セイゴ(スズキの子)
セイゴとはスズキ(シーバス)の幼魚〜若魚(一般に30〜40cm未満程度)を指す愛称です。冬になると大型のシーバスは産卵で沖に出ていきますが、セイゴクラスの若魚は港内に残りやすいためライトゲームの良いターゲットになります。夜の常夜灯下や、日中でも水温が下がりにくい河口や温排水周りで姿を見せることがあります。セイゴはフィッシュイーターだけあって小魚そっくりのワームや小型ミノーにもよく反応します。ライトゲーム用タックルでも十分対応できますが、ヒットすると走り回る引き味は抜群でスリル満点です。ワームを使ったライトゲームでシーバスを釣る感覚が味わえるので、釣れたときの嬉しさも格別でしょう。冬の港内にセイゴの群れが入っていれば、初心者でも連発することも夢ではありません。ただしサイズが大きくなると無理は禁物。ドラグ調整をきちんとして、余裕をもってやり取りしてください。セイゴは冬場のサプライズ的なターゲットですが、状況が合えば十分狙える魚種です。
初心者でも扱いやすいライトゲームタックル
冬のライトゲームを始めるにあたり、初心者でも扱いやすいタックル(釣り道具)を揃えましょう。ロッドやリール、ラインといった基本装備から、冬に効果的なルアーまで解説します。ライトゲーム用の道具は比較的リーズナブルで軽量なので、ぜひこの機会に準備してみてください。
ロッドの選び方
ライトゲーム用ロッドは長さ6.5〜8フィート前後が扱いやすくオススメです。港や堤防での取り回しを考えると、このくらいの長さがキャストもしやすく、足元の魚も狙えて便利です。硬さ(パワー)はUL(ウルトラライト)〜L(ライト)クラスが基本で、先調子の繊細な竿が小さなアタリも拾ってくれます。ただし冬場はやや張りのあるロッドが感度の面で有利です。水温低下でアタリが微妙になることも多いため、ティップ(竿先)がブレずにしっかり手元に伝えてくれる竿が良いでしょう。具体的にはメバルロッドやアジングロッドと呼ばれるカテゴリーの竿が最適です。初心者なら1万円前後の入門ロッドで十分楽しめます。できれば実際に手にとって、軽さと穂先の柔らかさ・張り具合を確認すると失敗が少ないでしょう。
リールの番手
ライトゲームでは小型スピニングリールを使用します。2000〜2500番クラスのリールであればラインキャパも十分でトラブルも少なく扱えます。番手は大きすぎるとリール自体が重くなってしまうので、この程度のサイズがバランス良好です。最近は浅溝スプールのライトゲーム専用モデルもありますが、初心者は手持ちの汎用2500番などでも問題ありません。また冬場は手がかじかむこともあるので、ハンドルノブが握りやすい形状だと巻き取りやすいでしょう。ドラグ性能も重要ですが、近年のリールは低価格帯でも性能が向上しているので、極端に安価すぎるもの以外は気にしなくて大丈夫です。手に馴染むサイズ感・重さのものを選んでください。
ライン設定
ライトゲームで使うラインは細めが基本です。メインラインはPEラインの0.2〜0.4号程度がよく使われます。細いPEはルアーを遠くに飛ばせ感度も抜群なので冬の繊細な釣りに向いています。ただし、初心者のうちは風が強い日などに糸絡みしやすい欠点もあります。そのため完全な初心者ならナイロンラインまたはフロロカーボンライン3〜4lb直結でもOKです。ナイロンは扱いやすい反面、伸びがあって感度は落ちますが、最初の1セット目としてはトラブルが少ないので安心です。
もしPEラインを使う場合はリーダーを結ぶ必要があります。リーダーにはフロロカーボンライン4lb前後(1〜1.5号程度)を50cmほど結束します。冬場は透明度の高い水にもなるので、フロロのリーダーがあると魚に見破られにくくなります。PE0.3号+フロロ4lbといった組み合わせが標準で、飛距離と強度のバランスに優れます。ライントラブルが怖い初心者は、まずナイロン4lb直結で始めてみて慣れてきたらPEに移行する、というステップでも問題ありません。
冬でも釣れるワーム・ジグヘッド
ライトゲームで使用するルアーはジグヘッドリグ+ワームが定番です。特に冬は1〜2g程度の軽量ジグヘッドが万能に活躍します。重すぎると動きが不自然になりますし、軽い方がスローに沈めてアピールできるため寒い時期には有効です。風が弱ければ1g前後、多少風があれば1.5〜2gといった重さを使い分けましょう。
組み合わせるワーム(ソフトルアー)は2インチ前後の極小サイズが鉄板です。冬場はベイト(餌となる小魚やエビ)が小さくなりがちで、それに合わせてワームも小さめが有利になります。ストレート系の細身ワームやピンテール系など動きがナチュラルなものがおすすめです。カラーは定番のクリア(透明系)やグロー(夜光)、そして濁りが入ればピンク系などが実績豊富です。夜釣りではグローやホワイトが目立ち、日中はクリアや自然色が効くことが多いです。いくつかカラーを用意して状況でローテーションすると良いでしょう。
なお、ワーム以外にも小型メタルジグやシンキングペンシルなども冬に効果を発揮することがありますが、初心者にはアタリが明確に出やすいワーム+ジグヘッドが扱いやすいです。まずはこの基本リグで冬の魚の反応を楽しんでみてください。
冬のライトゲームで重要な“場所選び”のコツ
冬にライトゲームで釣果を上げるには、釣り場(ポイント)選びが極めて重要です。寒い時期、魚は快適な環境に固まりやすいので、ポイントさえ間違えなければ効率よく釣ることができます。ここでは冬の堤防ライトゲームで押さえておきたい場所選びのコツを紹介します。
常夜灯周りは必ずチェック
港や漁港の常夜灯がある場所は冬の夜釣りにおける一等地です。常夜灯の明かりでプランクトンや小さなエビ・ゴカイなどが集まり、それを狙って小魚が群れます。さらにその小魚を狙うメバル・アジ・セイゴなどのフィッシュイーターが集結するという食物連鎖スポットになるのです。当然、魚の密度が高くなるので釣果も期待できます。特に光の明暗が作る境界線(明るい照明の範囲と暗い海の境目付近)は狙い目です。魚は明るい側から飛び出すベイト(小魚)を暗がりで待ち伏せする習性があるため、そのライン上をルアーが通過するように投げるとヒット率が上がります。冬に夜釣りをするなら常夜灯周りはまずチェックすべき鉄板ポイントです。
堤防の角・スロープ・船道
堤防の構造上の特徴を攻めるのも効果的です。堤防の角(曲がり角)や先端は潮通しが変化し、魚が回遊してくるポイントになりやすいです。外洋からの魚が港内に入る出入口付近でもあり、エサを求める魚が留まりやすい場所です。また、車のスロープになっているような斜面部や桟橋周りも地形変化があり、フィッシュイーターが獲物を待ち構えることがあります。
さらに船道(ふなみち)と呼ばれる港内の深い溝や航路も見逃せません。船が通るおかげで水深が確保されているエリアは魚の通り道にもなっています。特に冬は水温が深場の方が安定しているため、日中は深みに魚が集まる傾向があります。船道に沿った堤防際や、角から斜めに船道方向へキャストして探ると効果的です。地形変化や深さのあるポイント=魚の付き場と覚えておきましょう。ボトム狙いなら根魚(カサゴ等)が濃いですし、中層〜表層なら回遊魚(アジやセイゴ)が回ってくる可能性があります。
風裏ポイントを選ぶべき理由
冬の釣りでは風が大敵です。軽いルアーを扱うライトゲームでは、風が強いと糸ふけが出てしまいアタリが取りづらくなります。さらに気温が下がる上に風が吹くと体感温度は一気に低下し、防寒対策をしていても釣り続けるのが辛くなってしまいます。したがって冬の釣行では風裏(かぜうら)になるポイントを選ぶことがとても重要です。風裏とは、その時の風向きに対して建物や山、堤防自体が壁になって風を遮ってくれる場所のことです。
釣りに行く前に風向きを天気予報でチェックし、現地では堤防の配置を見てどちら側が風を避けられるか考えましょう。例えば北風の日なら南向きの岸壁側、西風が強い日なら東向きの港内側といった具合です。**風を避けられるだけで体への負担も減り、ルアーの操作性も格段に上がります。**特に初心者は風の影響を過小評価しがちですが、冬はとにかく無理をせず風を避けて釣り場を選ぶのが長く楽しむコツです。風裏ポイントであれば魚もエサを捕りやすい状況なので、結果的に釣果にも好影響となります。
冬でも釣れる!ライトゲームの基本アクション
ライトゲームで魚を誘うための基本アクションを紹介します。初心者でも簡単に実践でき、冬の魚にも効果的なテクニックばかりです。いずれも派手なアクションではなく、シンプルでゆっくりめの操作がキーポイントになります。
ただ巻き
ただ巻きとは、ルアーをキャストして狙ったレンジまで沈めたら、そのまま一定のスピードで巻いてくるだけのシンプルな操作です。初心者はまずこの「ただ巻き」から始めれば間違いありません。特に冬のライトゲームでは、“ゆっくり巻く”ことが最大のポイントです。寒い水の中では魚の動きも鈍くなるため、速すぎると追いつけず見切られてしまいます。メバルやセイゴ、アジなどはただ巻きで十分反応してきます。例えばメバルなら、常夜灯周りで2g未満のジグヘッド+ワームをスーッとゆっくり引くだけで「ゴンッ」とアタリが出ることも多いです。焦らずゆっくり、時折巻きを止めて1秒ポーズを入れるなど緩急をつけても良いでしょう。基本動作ですが、冬場はこのただ巻きが最も効果的かつ簡単な必殺アクションになります。
リフト&フォール
リフト&フォールは、ルアーを持ち上げて沈める動作を繰り返す誘い方です。具体的には、いったんボトム付近までジグヘッドリグを沈めたら、ロッドをサッと持ち上げてルアーを跳ね上げ(リフト)、その後ロッドを下げてルアーを再び沈める(フォール)という動作を繰り返します。冬はボトム付近にいるカサゴやアイナメ(アブラコ)などの根魚を狙う際にこのリフト&フォールが効果的です。ルアーが跳ね上がって再び落ちる瞬間に食ってくることが多く、特にフォール中にコツンと当たりが出ます。
初心者はリフトの幅を大きくしすぎず、小さく2~3回チョンチョンとロッドを煽っては止める、というイメージでやってみましょう。フォール中は糸ふけを取りつつテンションを感じる程度にしておくと、当たりがあった際にすぐ反応できます。リフト&フォールは根魚狙いの定番アクションですが、慣れてきたら中層でやってみてアジやメバルにアピールすることもできます。「止めた瞬間にグンッと来る」スリリングな誘いなので、ぜひ試してみてください。
テンションフォール
テンションフォールとは、ラインにテンションをかけた状態でルアーを沈めていくテクニックです。通常、フォールさせるときはラインをフリーにして沈めますが、テンションフォールではあえて糸を張ったままゆっくり沈めます。こうすることでルアーがフワ~ッと漂うように落ち、食い渋っている魚にも口を使わせやすくなるのです。冬は魚の活性が低く食い渋りになる場面も多いですが、テンションフォールはそんな状況で威力を発揮します。
やり方は簡単で、キャスト後に狙いのレンジまで沈める際、ベールを起こしてフリーにせず指でスプールから出るラインを軽く抑えながら沈めるだけです。ラインを張り気味にすることで、ルアーの落下速度が遅くなり、魚に長くアピールできます。特に寒い時期、魚は活発に追わなくても目の前にゆっくり落ちてくる獲物には反射的に食いつくことがあります。テンションフォールはただ巻きやリフトフォールで反応がないときの切り札的アクションとして覚えておきましょう。メバルやセイゴだけでなく、低活性時のアジやメッキ(小型回遊魚)にも有効です。
時期×時間帯×潮の組み合わせで釣果が決まる
冬のライトゲームでは、「いつ(時間帯)どこで釣るか」が釣果に直結します。ここでは冬の時期に特に意識したい時間帯や潮回りの考え方を解説します。時期×時間帯×潮の組み合わせを上手く狙えば、寒い中でも効率良く釣果を上げられるでしょう。
冬は“夜釣り”が圧倒的に強い
冬シーズンは夜釣りが圧倒的に有利とされています。理由の一つは水温の安定です。昼間は放射冷却などで浅場の水温が下がりすぎたり、風や日照の影響で水温変化が起こりやすいですが、夜間は一様に安定しやすく魚の活性が上がる傾向があります。また前述の通り常夜灯の効果で夜は餌となる小生物が集まり、それに連動してフィッシュイーターも活発になります。特に冬の堤防は常夜灯があるかないかで釣果が雲泥の差になることも少なくありません。メバルやアジはもちろん、セイゴなども夜行性に近い動きをします。初めて冬のライトゲームに挑戦するなら、防寒をしっかり整えて夜釣りに臨むのが成功への近道です。もちろん日没直後の「夕まずめ」も良い時間帯ですが、真冬は日が落ちてしばらく経ってからの方が魚の活性が高まることもよくあります。安全に気をつけながら、ぜひ夜の堤防でライトゲームを楽しんでみましょう。
潮の動きが変わる瞬間がチャンス
魚の活性は潮汐(潮の満ち引き)にも大きく左右されます。これは冬に限った話ではありませんが、特に寒い時期は活性が低めなため、潮の変化によるスイッチが重要になります。具体的には、上げ潮に転じるタイミングや下げ潮に転じるタイミングといった「潮が動き始める瞬間」が一つのチャンスです。停滞していた水が動き出すことで、水中の酸素やプランクトンが攪拌され、魚が活発にエサを探し始めます。
例えば満潮から下げに切り替わる瞬間、あるいは干潮から上げに切り替わる瞬間に、その場に魚がいれば急に連続で当たりだす…といった経験をする人も多いでしょう。逆に潮止まり前後の水が動かない時間帯は、魚も動かず食い渋ることが多いです。冬場は無理に粘りすぎず、「釣れないな」と感じたら潮が動くタイミングまで休憩するのも一つの戦略です。潮見表を確認し、釣行時間を潮の変化に合わせて計画すると効率的に釣果を上げられます。
昼釣りで釣るためのコツ
冬は夜が有利とはいえ、日中しか釣りに行けないケースもあります。昼釣りで結果を出すコツも知っておきましょう。まず一つ目はボトム狙いを中心にすることです。冬の昼間、海水温は上層ほど下がりやすく、魚は比較的安定した温度の底付近にたまりがちです。カサゴやソイなど根魚はもちろん、メバルも昼は底近くの陰に潜んでいるので、ジグヘッドをしっかり底まで落としてから誘うようにしましょう。底を取る技術(着底を感じること)が重要になります。
次に日当たりの良いポイントを選ぶのも効果があります。冬の晴れた日は、浅場でも日光が当たる場所はほんのわずか水温が上がったり、プランクトンが活性化して小魚が集まりやすくなります。防波堤の内側で陽が差し込む場所や、シャローエリアでも黒っぽいゴロタ石が多い場所などは、太陽熱で周囲より暖かくなり魚が寄っていることがあります。また、温排水が出ているような場所があれば迷わずチェックしましょう。工場や発電所からの暖かい排水が流れ込むエリアは冬の魚のオアシスです。地域によりますが、チヌ(黒鯛)やスズキ、メバルなど様々な魚が集まります。
最後に、昼間は夜よりも魚の警戒心が高いため、細いラインや小さめのジグヘッドでよりナチュラルに見せる工夫も有効です。晴天の日中こそテクニックの見せ所。難易度は少し上がりますが、その分釣れたときの達成感も大きいでしょう。
初心者が冬のライトゲームでやりがちな失敗と改善策
冬のライトゲームで初心者が陥りやすいミスと、その改善策をまとめました。思い当たることがあればすぐに修正して、より良い釣果につなげましょう。
① ワームが大きすぎる
→ 冬は小さめが圧倒的に有利
初心者がやりがちなのが、ルアー(ワーム)のサイズ選択ミスです。ついアピール力を求めて大きめのワームを付けてしまいがちですが、冬はベイト自体が小型化する時期です。大きすぎるワームには魚が興味を示さない、または食い切れないことが多くなります。釣れないときこそ思い切ってワームサイズを落としてみましょう。例えば普段2インチを使っているなら1.5インチにしてみるだけで、急にアタリが増えることがあります。特にメバルやアジは小さなシルエットへの反応が段違いに良くなるので、冬場はできるだけ小さなワームを使うのが正解です。
② 速く巻きすぎる
→ 魚が追いつけないのでNG
寒い中で焦ってしまい、リールをつい速く巻いてしまうのも初心者の失敗あるあるです。冬の魚は動きがスローなので、速いリトリーブ(巻き取り)は魚が追い切れず逆効果になります。基本は「これでも遅すぎるかな?」と感じるくらいゆっくり巻いてちょうど良いくらいです。特にただ巻きの場合、レンジキープしつつスローに引くことで魚にルアーを見せる時間を長く取れます。どうしても手が勝手に早巻きしてしまう人は、一度リールを巻くのをやめてロッドで聞きながらルアーを泳がせるような感覚を掴むと良いでしょう。冬はスロー&ナチュラルが鉄則です。速巻きはNGだと覚えておいてください。
③ 風の強い日に釣りをしてしまう
→ 軽いルアーは風に弱い。風裏へ移動が正解
前述しましたが、風はライトゲームの敵です。初心者は釣りに行ける日程が限られていると、つい多少風が強くても強行してしまうことがあります。しかし軽量ルアーは風に流されやすく、まともに釣りにならない場合が多いです。風でラインが弓なりになり着底も分からず、ルアーは狙ったコースから外れ、さらには体も冷えて集中力も切れてしまいます。釣果以前に危険も増すので、冬に強風の日は無理に堤防に出ないようにしましょう。
どうしてもという場合は、思い切って風裏のポイントに移動するのが正解です。同じエリアでも風向き一つで別天地になることがあります。例えば防波堤の外向きが強風でも、反対側の内側は嘘のように穏やかだったりします。釣り場を転々と変えるのも経験のうちです。風の弱い場所であれば、軽いジグヘッドでも快適に操作できて魚の反応も得られやすくなります。
④ ボトムを取れていない
→ ボトムを攻めないとカサゴ等を逃す可能性大
根魚狙いでありがちなミスが「ボトムを取っているつもりが取れていない」ことです。初心者は糸ふけの具合や僅かなテンション変化に気づきにくく、実は底についていないのに巻き始めてしまったり、逆に底に着いたまま放置して根掛かりする、ということが起こりがちです。冬のカサゴやソイなどはしっかり底までルアーを届かせないと釣れません。ボトムが取れていないと、足元にたくさん魚がいても全てスルーしてしまっている可能性すらあります。
改善策としては、カウントダウンをして確実に着底を確認する習慣を付けることです。キャストしたら「1、2、3…」とルアーが沈む秒数を数え、違和感(糸ふけが急に出る等)で着底を判断します。また少し重めのジグヘッドを使うと着底が分かりやすいです。根魚狙いなら最初から重め(3g程度まで)のジグヘッドで練習し、底取り感覚を掴むのも良いでしょう。しっかりボトムを攻略すれば、冬の堤防での釣果は格段にアップします。
冬の釣りを快適にする防寒・安全対策
冬に釣りを楽しむためには、防寒対策と安全対策が欠かせません。寒さを甘く見るとすぐに体が冷えて釣りどころではなくなりますし、冬特有のリスクもあります。ここでは冬のライトゲームを快適&安全にするためのポイントを確認しましょう。
最低限必要な防寒装備
冬の堤防に立つなら、防寒装備はしっかり準備しましょう。まず手袋(グローブ)は必須です。指先の出るフィッシンググローブなら繊細な操作もできつつ手のかじかみを防げます。続いてネックウォーマーも超重要アイテムです。首元から体熱が逃げるので、ここを暖めるだけで体感温度が全然違います。マフラーでも良いですが、動きやすさではネックウォーマーが◎。さらに**防寒インナー(肌着)**を着込んでおくことも大事です。ヒートテックなど発熱素材のインナーを上下着ておけば、寒風の中でも耐えられる基礎体温を保てます。
そして忘れがちなのが足元の防寒です。厚手の靴下や防寒ブーツを用意し、靴の中にカイロ(発熱体)を入れるのも効果的。足先が冷えると集中力が一気に切れてしまうので、足元は特に念入りに暖かくしましょう。その他、防風防水の上着とズボン(できれば釣り用の防寒ウェア)やニット帽子なども揃えたいところです。寒さを感じず釣りに集中できれば、冬の釣果は確実に伸びます。「ちょっと暑いかも?」くらいの装備がちょうど良いと覚えておきましょう。
冬特有の危険
冬の釣り場には、暖かい季節にはない特有の危険があります。まず海面や地面の結露・凍結です。冷え込んだ夜から早朝にかけて、堤防の上がしっとり濡れていたり薄氷が張っていることがあります。これは非常に滑りやすく、足を踏み外すと海中転落のリスクも高まります。特にテトラポッドの上や岸壁の斜面などは、凍結していなくても海藻や苔で滑りやすいので要注意です。
次に高波や波の反射です。冬は季節風の影響で海が荒れやすく、日本海側などでは大型のうねり波が防波堤に当たって跳ね返り、思わぬ場所まで波しぶきが来ることがあります。満潮時や風が強い日は堤防の内側でも急に波が乗り越えてくる可能性があります。夜間は特に波が見えにくいので、一段高い場所から釣る、ライフジャケットを必ず着用するなど自衛が必要です。
また、低体温症や凍傷といった人体への危険も無視できません。長時間寒風にさらされると判断力も鈍ります。指先がかじかんで感覚がなくなってきたら危険信号です。無理せず暖を取るか撤収する勇気も持ちましょう。冬ならではのリスクを把握して、安全第一で釣行してください。
初心者が絶対に守るべき安全ルール
冬場に限りませんが、特に過酷な冬の釣りでは安全ルールを厳守しましょう。単独釣行は避けるのが基本です。できれば釣り仲間と一緒に行き、互いに様子を見守れる状況がベストです。万一落水した場合など、一人だと対応が遅れて命取りになります。どうしても一人で行く場合は、家族や知人に「どこの釣り場に何時頃行く」と事前連絡を入れておくと良いです。
天候判断も重要です。波が高い日や急な天気変化がある日は釣りを中止する勇気を持ちましょう。特に冬の日本海側は急激な天候悪化があります。命あっての釣りですので、「今日はヤバそうだ」と思ったら未練なく撤退してください。釣果より安全優先です。
そしてライフジャケットは必ず着用しましょう。岸壁だから落ちないだろう、と思うかもしれませんが油断は禁物。滑って転んだ拍子に海へ、という事故は実際に起こっています。冬の海に落ちれば低体温症で泳げなくなるリスクもあります。浮力体付きの服でも構いませんので、着用していれば最悪の事態を避けられます。またヘッドライト(夜釣りの場合)やスパイクブーツ(滑り防止)なども可能な範囲で揃えて、安全第一で冬の釣りを楽しんでください。
冬のライトゲームをさらに楽しむためのコツ
最後に、冬のライトゲームをより充実して楽しむためのコツをいくつかお伝えします。釣果だけでなく釣りそのものを楽しむ工夫をすることで、寒い季節のライトゲームがもっと魅力的になります。
釣れない時間を“情報収集”にあてる
冬はどうしても魚の活性にムラがあり、まったくアタリがない時間帯もあります。そんな「釣れない時間」をただ耐えるのではなく、情報収集や観察の時間に充てると有意義です。例えば魚のいるレンジを探るためにカウントダウンを変えてみたり、ルアーの色や重さを換えて当たりが出るパターンを調べることも一種のゲーム性があります。また、周囲の地形をよく観察して「ここに沈みテトラがあるのかな?」とか「海底が砂地から岩場に変わるラインはどこだろう?」などと想像しながら探ると、ポイントの特徴が掴めてきます。
釣りに来ている他のベテラン風の釣り人と会話してみるのも良い情報収集です。冬によく釣れているエサや仕掛け、時間帯など生の声が聞けるかもしれません。ライトゲームは奥が深く、学べば学ぶほど翌日の釣りが楽しくなるものです。魚が釣れないときほどアンテナを張り巡らし、自分なりの発見をしてみてください。それが冬の釣行をただ寒いだけの時間にせず、価値ある時間に変えてくれます。
短時間釣行のすすめ
冬の釣りは長時間粘るよりも短時間に集中するスタイルがオススメです。寒い中で無理に一日中頑張ると、体力も気力も消耗し風邪をひいてしまうかもしれません。それよりも魚の活性が高い時間帯を見極めて、2〜3時間程度に絞って釣りをする方が効率が良いです。例えば「夕方の上げ始めから2時間だけ勝負する」など、自分で時間を区切ると集中力も高まりますし、「この時間で釣れなければ今日は潔く帰ろう」と決めておくと精神的にも楽です。
短時間釣行なら事前準備をしっかりしておけば、寒さもそこまで苦になりません。温かい飲み物を用意したり、車で休めるよう近場のポイントにするなどして、冬は無理せずコンパクトに楽しむ発想を持ちましょう。その代わり回数を増やしたり、ポイントを変えて数回に分けて釣行すれば、結果的に多くの状況を経験できます。「冬は粘らずサクッと釣る」くらいがちょうど良いと覚えておいてください。
釣った魚の簡単処理方法
冬のライトゲームで釣れた魚は、持ち帰って食べても非常に美味しいものが多いです。寒い海で育った魚は身が引き締まって味が良いので、ぜひ食卓にも活用しましょう。その際に役立つ簡単な魚の処理方法も知っておくと便利です。まず食べる分だけキープし、不要な分はリリースするのが基本です(小さい個体や産卵前の魚は逃がす配慮も大切)。
持ち帰る魚は、釣れた直後に**締める(絞める)**と鮮度が保てます。例えばメバルやカサゴならエラ部分にナイフを入れて血抜きし、海水で洗ってクーラーボックスに入れましょう。冬場は気温が低いので簡易クーラーでも十分冷えますが、氷があればなお良いです。現地で内臓を出すのがベストですが、難しければ新聞紙に包んで持ち帰り、帰宅後すぐ下処理します。
また冬は魚の身が締まりやすく痛みにくいとはいえ、釣ってから食べるまでの処理で味が大きく変わります。特にアジなどは釣ってすぐ絞めて血抜きするだけで刺身の美味しさが段違いです。初めは難しく感じるかもしれませんが、簡単な締め方・持ち帰り方をマスターすると釣りの楽しみが「釣る→食べる」まで広がります。冬に釣れた魚は脂が乗り旨味も濃いので、ぜひ新鮮なうちに味わってみてください。
まとめ
この記事では、冬でも楽しめる堤防ライトゲームの基本と実践方法について解説しました。冬だからといって釣れないわけではなく、寒い季節こそライトゲームで狙える魚がたくさんいることがお分かりいただけたと思います。最後に重要なポイントを振り返ってみましょう。
- 冬でもライトゲームはしっかり成立する: 常夜灯周りや深場などを狙えば、メバルやカサゴをはじめ多くの魚が釣れます。むしろ釣り人が減る冬は穴場的に楽しめる季節です。
- 釣れる魚・場所・時間帯が明確だから初心者向け: メインターゲットや有望ポイント、夜釣りが有利なことなど、冬は狙いを絞りやすく初心者でも攻略しやすいです。
- 小型ワーム+軽量ジグヘッドで結果が出やすい: 基本タックルとリグさえ押さえれば、難しいテクニックなしでもヒットが期待できます。スローに誘うだけでOKです。
- 安全&防寒をしっかりすれば長く楽しめる: 十分な防寒と安全対策を整えておけば、快適に釣りができ釣果も伸びます。無理せず短時間勝負で冬の釣りを満喫しましょう。
この記事を参考にすれば、あなたも冬の堤防ライトゲームを安心して始められるはずです。寒さが苦手でもコツさえ掴めば冬こそ釣りの醍醐味が味わえます。次の休みにぜひ実践してみて、冬のライトゲームの魅力を体感してみてください!



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