秋の夕暮れ、関西の人気堤防にはタチウオ狙いの釣り人がずらりと並びます。秋になると大阪湾など関西エリアの波止(堤防)は、夜釣りでタチウオを狙う人々で大賑わいです。「指4本」などとも表現される銀色に輝く細長いタチウオは強い引き味と美味しさから大人気のターゲット。夕まずめから夜にかけてのスリリングな釣りは、この時期ならではの風物詩となっています。
夜釣り特有のスリルもタチウオ釣りの魅力です。暗闇の中でウキが消し込む瞬間や、ルアーにガツンとアタリが出る感覚はたまりません。中でも近年注目のワインド釣法(専用のジグヘッドとワームを使った釣り方)は、アクション次第で初心者でも十分にタチウオを釣り上げることができます。エサ釣りだけでなくルアーでも狙えるので、自分に合った釣法で挑戦できるのも嬉しい点です。
本記事では、秋の夜に堤防からタチウオ釣りに挑戦する初心者向けに、仕掛け選び・釣り方・おすすめ釣り場を分かりやすく解説します。道具の基本から釣れる時間帯のコツ、安全対策まで網羅した完全ガイドです。ぜひ参考にして、安全第一で秋の夜釣りタチウオデビューを成功させましょう!
なぜ秋の夜釣りはタチウオのベストシーズンなのか
秋の夜釣りがタチウオ狙いに最適と言われるのには、いくつかの理由があります。ここでは、秋に堤防からタチウオがよく釣れる理由と、タチウオの習性について解説します。
秋はタチウオの接岸シーズン!
一般的にショア(岸)からのタチウオシーズンは8月~11月頃といわれ、その中でも秋(特に8〜10月)が最盛期です 。夏の終わり頃から徐々に沿岸にタチウオが回遊し始め、気温が下がり始める秋にかけて堤防周りで本格的に釣れ出します。これは、エサとなるイワシやアジなどの小魚が秋にかけて沿岸に増えるため、それを追ってタチウオも岸近くまで接岸してくるからです。実際、秋の大阪湾岸は海釣りのベストシーズンとされ、タチウオ釣りは関西で最も人気のターゲットになっています 。
タチウオは夜行性の魚!
タチウオは昼間は深場に潜み、暗くなる夕方から浅いレンジ(表層付近)に浮いてエサを追い回る夜行性のフィッシュイーターです 。そのため、堤防から狙う場合も夕方〜夜間が絶好の時間帯になります。特に日没前後1~2時間(いわゆる夕まずめ)と夜間の常夜灯周りは好機で、反対に太陽が高い昼間はなかなか岸から釣れません 。夕まずめ時は海中のプランクトンが活発になり、小魚も活動を開始、それを狙うタチウオも捕食行動を活発化させます 。こうした習性から、秋の夕方から夜にかけての時間帯に堤防へ行けば高確率でタチウオと出会えるというわけです。
水温や潮が安定する秋は釣果アップ!
関西の秋は猛暑の夏が過ぎて水温が適度に下がり、かつ冬ほど水温低下しない安定した海況となります。この適度な水温はタチウオの活性が高く、岸近くでエサを追いやすい環境と言えます。また、秋は台風一過を除けば天候も比較的安定し釣行しやすい季節です。潮回りに関しても、一般にタチウオは潮の流れが速すぎる大潮よりも小潮〜中潮くらいの緩やかな潮回りの日が釣りやすいとも言われます 。潮の変化が小さいタイミングではタチウオの活性も上がりやすく、逆に流れが速すぎる時や完全に止まっている時は食いが渋い傾向があります 。総じて、秋は水温・潮流ともにタチウオにとって好条件が揃いやすく、堤防からの釣果が出やすいベストシーズンなのです。
初心者におすすめ!秋のタチウオ仕掛けとタックル選び
秋のタチウオ釣りを始めるには、まずタックル(釣具)と仕掛けの準備が大切です。ここでは初心者でも扱いやすいタチウオ釣りのタックルと、実績十分の定番仕掛けを紹介します。道具選びをしっかり押さえておけば、釣り場でのトラブルも減り、釣果アップにもつながります。
タチウオ釣りの基本タックル
ロッド(竿): 堤防からのタチウオ釣りには、8~9フィート程度のシーバスロッドが流用できて便利です 。長さ2.4m〜2.7mほどで軽量かつ丈夫なシーバスロッドは、遠投性能と操作性のバランスが良く、初心者にも扱いやすいでしょう 。柔らかめのロッドはウキ釣りでエサを投げやすく、少し張りがあるロッドは引き釣り(テンヤ)のアタリも取りやすいです。目安としてルアー適合重量10~30g程度の中硬度(ミディアムクラス)のロッドであれば、ウキ釣り・テンヤ引き釣りの両方に対応可能です 。もしワインド釣法にも挑戦したいなら、同じく8~9ftのシーバスロッドやエギングロッドで代用できます (ワインド専用ロッドも市販されていますが、まずは手持ちのものでOKです)。
リール&ライン: リールはスピニングリールの2500番〜4000番クラスが適しています 。PEライン(編み糸)は0.8号〜1.2号程度を200m前後巻いておきましょう 。細めのPEは飛距離が出て感度も良いですが、タチウオは歯が鋭いためリーダー(ハリス)には必ずワイヤーを使用します 。ナイロンやフロロカーボンでは歯で簡単に切られてしまうため、市販のタチウオ用ワイヤーリーダー(5〜10cm程度)をスナップで付けましょう。リールはハイギアタイプ(HG)だと手早く糸を巻けてアタリに素早く反応できますが、ノーマルギアでも問題ありません 。軽量なリールの方が長時間シャクリ続けても疲れにくいので、予算が許せば少しでも軽いモデルを選ぶと良いでしょう 。
初心者でも使いやすい仕掛け
タチウオ釣りにはエサを使った仕掛けからルアーまで様々な方法がありますが、初心者に特におすすめなのがウキ釣り仕掛けとテンヤの引き釣り仕掛けです。どちらもシンプルで実績の高い釣法なので、まずはこの二つを押さえておきましょう。
電気ウキ釣り仕掛け: 夜釣りの定番である電気ウキ釣りは、発光体付きのウキでエサを適切なタナに漂わせ、タチウオの食い上げを待つ釣り方です。仕掛けはシンプルで、道糸から電気ウキ、シンカー(オモリ)、ハリス(ワイヤーリーダー)、そしてエサ用の一本針という構成が基本です。エサにはキビナゴやイワシなど小魚の切り身を使います。なかでも冷凍キビナゴは扱いやすく実績抜群で、スーパーで入手し塩漬け冷凍しておくと丈夫で針持ちが良くなります 。ウキ下(ハリスの長さ)は狙うタナによりますが、まずは2〜3ヒロ(3〜4m前後)にセットして様子を見ましょう。電気ウキがフワフワと揺れたり沈んだりするアタリが出たら、ウキがしっかり消し込むまで待ってからアワせます。ウキ釣りは視覚的にアタリが分かりやすく、初心者にも取り組みやすい釣法です。エサの匂いと光でタチウオを誘えるため、初秋の渋い日でも意外と釣果が出ることがあります。
テンヤの引き釣り仕掛け: 関西で古くから親しまれているテンヤ釣法(引き釣り)も初心者向きの釣り方です 。テンヤとはオモリと針が一体化した仕掛け(タチウオ用は独特の形状で、エサを巻き付けられるようになっています)で、このテンヤにエサを付けて投げ込んだら、あとはゆっくり巻いてくるだけというシンプルさが魅力です 。ウキ釣りに比べて道具立ても少なく、初心者でも簡単にセットできます 。エサには生きたドジョウを使うのが昔からの定番ですが、キビナゴやイワシの切り身でも十分釣れます 。テンヤ仕掛けを遠投し、着水後しばらく沈めたら一定のスピードでリールを巻いて引いてきます(これを引き釣りと呼びます)。巻いてくる途中で「コツン」という明確なアタリが手元に出るのが特徴で、その瞬間に軽くアワせて針を掛けます 。ただ巻きするだけなので釣り方も非常に簡単で、ルアーフィッシングとエサ釣りの良いとこ取りとも言われています 。テンヤの重さは15号前後(約56g)が一般的ですが、浅場ならもう少し軽い8〜10号を使うこともあります。まずは扱いやすい15号前後を選びましょう。テンヤ釣りは広範囲を探れてゲーム性も高く、エサの匂いも加わるためタチウオの反応が良い傾向があります 。手軽さと釣果実績から、ウキ釣りと並んで秋タチウオの人気釣法となっています。
注目のワインド釣法
タチウオ釣りでもう一つぜひ挑戦してほしいのがワインド釣法です。ワインド釣法とは、先が尖った専用ジグヘッドに細長いワーム(ソフトルアー)を装着し、ロッド操作でダート(左右へのキビキビしたジグザグアクション)させてタチウオにアピールする釣り方です 。近年ブームとなっている釣法で、エサを使わず手軽で、コツさえ掴めば初心者でも十分釣果を狙えるのが魅力です 。
定番ジグヘッド&ワーム: ワインド釣法で使用するルアーセットとして不動の定番なのが、オンスタックルデザイン社の「ZZヘッド」+「マナティー」という組み合わせです。ZZヘッドはタチウオ専用設計のダート用ジグヘッドで、水中でキレのある左右ダートアクションを生み出せます。マナティーは細長いスティック状ワームで、タチウオワインドのチャンピオンとも呼ばれる人気ワームです。例えばZZヘッド5/8オンス(約18g)+マナティー90といった組み合わせは、飛距離と操作性のバランスが良く初心者にも扱いやすいでしょう。もちろん他メーカーからも類似のワインド用ジグヘッド・ワームが多数出ていますが、初めの一セットとしてZZヘッド&マナティーを用意すれば間違いありません。※商品リンクは省略しますが、釣具店で「タチウオ ワインド用」と言えば店員さんがこの定番セットを教えてくれるはずです。
カラー選び: ワインド用ワームは様々なカラーがありますが、中でもパールホワイトは必須カラーと言われるほど実績があります 。曇天で薄暗い時や夜間・朝まずめなど、光量が少ない状況ではパールホワイトが強烈にアピールしてタチウオに効果的です 。加えて、紫外線発光するケイムラカラー(ケイムラブルーなど)や蓄光するグロー(夜光)カラーも夜釣りでは威力を発揮します。実際、パールホワイトで反応が鈍くなったときにケイムラ系の薄いブルーに替えた途端ヒットが出た、という経験談もあります 。タチウオは同じ色ばかり見せるとスレてくることがあるので、反応が渋くなったらワームのカラーを変更してみるのも釣果アップのポイントです 。まずは定番のパールホワイトに加え、ピンク系、ケイムラ(紫外線発光)系、グロー(蓄光)系あたりを揃えておくと安心でしょう。
タチウオが釣れる時間帯と釣り方のコツ
タチウオ釣りでは「いつ釣るか」「どう釣るか」が非常に重要です。この章では、タチウオがよく釣れる時間帯と、釣果を伸ばすための釣り方のコツを解説します。時合いを逃さず、効果的なアクション・エサの扱いでタチウオの食い気を刺激しましょう。
狙うべき時間帯
夕まずめ〜夜の早い時間が第一の山場! タチウオは日の出前後・日没前後の薄明るい時間帯(いわゆるマズメ時)にもっとも釣れやすくなります 。特に秋の夕方なら、日没の約1時間前から日没後2時間ほど(おおよそ夕方17時〜21時頃)が最大のチャンスタイムです 。この時間帯はタチウオが浅場へ一気に差してきて活発にエサを追い回すため、ウキ釣りでもルアー釣りでもアタリが集中します。「夕まずめだけでクーラー満杯」なんて話も珍しくありません。したがって、仕事終わりに行く場合もできるだけ日没前には釣り場に着き、タックル準備を済ませて薄暗くなる瞬間を逃さないようにしましょう。
深夜にも回遊チャンスあり!
夕まずめを過ぎると一旦アタリが遠のくこともありますが、実は深夜にも第二ラウンドが訪れることがあります。場所によっては夜中の0〜2時前後にタチウオの新たな群れが回遊してきて連発するケースがあるのです。22時以降は人も減って静かになりますが、そこで粘っていた釣り人だけが深夜の時合いに遭遇し、一晩で二桁釣果を上げる…といったことも。もちろん毎晩あるわけではなく活性が低い日もありますが、「もう少しやってみよう」と思える体力があればぜひ狙ってみましょう。深夜帯はタチウオの活性がやや落ちるとも言われますが、その分エサ釣り(匂いで誘う)が有利とも言われます 。ルアー釣りの場合もアクションをスローにするなど工夫すればヒットすることがあります。朝まずめ前の静かな時間に不意の大物が掛かる可能性もあるので、余裕があれば夜通し粘ってみるのも一興です。
潮止まり前後を狙え!
タチウオ釣りでは潮のタイミングにも注目しましょう。一般に「潮が動く時に釣れる」とよく言いますが、タチウオの場合は潮の流れが緩むタイミングで食い気が上がる傾向があります 。満潮・干潮の前後(いわゆる潮止まり前後)は海水の流れが落ち着き、小魚も動きが鈍くなるため、タチウオが捕食しやすくなると言われます。そのため、時合いは潮止まり付近に来ることが多く、実際に潮止まり直前が一番アタリが集中したという経験談を持つ釣り人も少なくありません。逆に潮が速く流れ過ぎている最中はタチウオも泳ぎにくいのか、アタリが減ることがあります 。釣行前には潮見表をチェックし、夕まずめと重なる潮止まりの時刻を把握しておくと良いでしょう。潮と時間帯がうまくマッチした日には爆釣の期待大です。
ワインドの動かし方の基本
ワインド釣法でタチウオを狙う際は、**ルアーのアクション(動かし方)**が釣果を左右します。基本となるロッド操作をマスターして、タチウオに思わず口を使わせるアクションを演出しましょう。
「リフト&フォール」で食わせの間を!
ワインド釣法の肝は、ルアーを左右にダートさせた後に一瞬の間(ポーズ)を作る動きです。具体的にはロッドを小刻みにシャクってルアーを跳ね上げ(リフト)、その後ロッドを戻してラインテンションを抜きルアーを沈める(フォール)という動作を繰り返します。2〜3回シャクったら1秒程度フォールさせ、また2〜3回シャクる…というリズムが基本です 。このフォール(ルアーがフッと落ちる瞬間)にタチウオが食いつくことが多いので、必ず適度な食わせの間(ポーズ)を入れるようにしましょう 。早く動かしすぎるとタチウオが追い切れなかったり見切ったりしてしまうため、シャクリっぱなしにせず間をとることが重要です。シャクリの速度は、目安として1秒間に2回シャクる程度の高速ダートが基本と言われます 。しかし活性が低いときはダートとダートの間にフォールを長めに入れてゆっくり誘う“スローなワインド”が有効になることもあります 。状況に応じてシャクリの強弱・回数やフォール時間を調整し、タチウオの反応を探りましょう。
シャクリは短く鋭く、でもやり過ぎ注意!
ワインドアクションではロッドティップ(竿先)を小刻みに上下させてルアーを動かしますが、シャクリの幅は小さく鋭く行うのがコツです。大きく竿を煽りすぎるとルアーが不自然に跳ね上がりすぎてしまうので、手首を使って「チョンチョン」という感じで動かします。シャクリの回数は2〜3回程度が基本で、それ以上連続でシャクリ続けるとルアーが水面近くまで浮いてきてしまうので注意しましょう。**「シャッ、シャッ…(2回シャクリ)→1秒ポーズ」**といった一定のリズムを自分で決めて、それを繰り返すと安定したアクションになります。慣れてきたら時折シャクリの回数を変えたり、フォール時間を長く取ったりして変化をつけ、タチウオに飽きられないよう工夫するとさらに効果的です。暗闇でのルアーフィッシングなので、自分の足元までルアーが来た際にはタチウオが急に食いついてくることもあります。ロッド操作に集中しつつも、足元まで気を抜かず、最後まで誘い切るようにしましょう。
エサ釣りのコツ
エサ釣り(ウキ釣りやテンヤ釣り)でタチウオを狙う場合、エサの付け方や仕掛けの視認性を工夫することで釣果アップが期待できます。ちょっとした手間を惜しまず丁寧に準備しましょう。
エサの付け方
タチウオ釣りで使う代表的なエサは冷凍イワシやキビナゴ、テンヤ釣りではドジョウも使われます。いずれの場合も、針への付け方は丁寧に行いましょう。エサがしっかり付いていないと、キャストの衝撃やタチウオの噛み付きで簡単に外れてしまい、釣果に直結します。一本針の場合、イワシなら上あごから下あごへ貫通させてから胴体にもう一度刺し、尻尾付近まで通すように刺すと外れにくくなります。キビナゴならエラ付近と尾の付け根の2ヶ所に針を刺すのが基本です。さらにエサ巻き用の糸(細い水糸など)でエサをグルグルと巻いて固定すると、キャストしてもズレにくくなります。特に柔らかいイワシは糸で巻いて補強すると安心です。エサは半解凍くらいの少し硬い状態の方が針持ちが良いので、クーラーボックスで冷やしつつ必要分だけ取り出して使いましょう。また、エサがクタクタになったら新しいものに付け替えることも大切です。新鮮なエサほど匂いも出てタチウオの食いも良い傾向があります。
夜釣りの視認性アップ
夜間の釣りでは自分の仕掛けの所在を把握することが安全面でも釣果面でも重要です。そこで活躍するのがケミホタル(発光体)や夜光ウキです。ウキ釣りの場合、市販の夜光ウキや電気ウキを使うか、通常のウキにケミホタルを装着しておきましょう。暗闇にポツンと浮かぶウキの灯りはアタリが一目瞭然で、複数人で釣りをしていても自分のウキが判別しやすくなります。また、テンヤ釣りでも発光体を活用すると効果的です。仕掛けのリーダー部分にケミホタル25~50をセットしておけば、集魚効果が高まるうえ暗所でも仕掛けの位置が確認しやすくトラブル防止にもつながります 。最近はテンヤ本体に小型発光体を装着できる製品もあります 。タチウオ自体が光に寄ってくる習性があるため、ウキや仕掛けを光らせるのは非常に有効です。さらに、頭灯(ヘッドライト)で海面を照らすと小魚(ベイト)が集まりタチウオを寄せる効果も期待できます 。ただしライトの照らしすぎは他の釣り人の迷惑にもなるので加減しつつ、適度な灯りを活用して視認性アップ&集魚を図りましょう。
関西で初心者でも狙えるおすすめ堤防スポット
最後に、関西エリアで初心者でもタチウオを狙いやすい堤防の釣り場を紹介します。どの釣り場もアクセスが良く、実績十分な人気スポットです。人が多く集まる場所が中心なので初めてでも安心して釣りができ、周りの上級者の様子を見ることで勉強にもなります。
大阪湾エリア
大阪湾沿岸にはタチウオの好釣場が点在しています。都市部に近くアクセスしやすいスポットが多いので、初心者のタチウオデビューにもピッタリです。
- 舞洲(まいしま) – 大阪市此花区にある人工島・舞洲の岸壁は、秋になるとタチウオ狙いの釣り人で賑わう有名ポイントです。車で乗り入れ可能で足場も良く、ファミリーフィッシングにも人気の場所。夜は街灯が点いているエリアもあり、初心者でも比較的安心して夜釣りができます。舞洲ではウキ釣り・ワインド問わず実績があり、サイズも指3本~4本クラスが狙えます。駐車場やトイレも近隣に整備されているので、快適に釣りを楽しめるでしょう。
- 大阪南港 – 大阪市住之江区の南港エリアもタチウオの一級ポイントが多く存在します。例えば南港フェリーターミナル横の岸壁や、南港魚つり園(海釣り公園)などはシーズン中に大勢の釣り人が訪れます 。南港は大阪湾奥のポイントで、タチウオが釣れ始めるのは例年9月中旬〜下旬頃とやや遅めですが 、シーズンインすれば連日好釣果が出ています。足場が良く柵も整備された公園もあるため、初心者やファミリーでも安心感があります。過去には南港で**指5本(全長約120cm)**の大型タチウオも上がっており 、夢のドラゴン級(大型タチウオ)も狙えるエリアです。
- 泉大津・岸和田エリア – 大阪府南部の泉大津周辺から岸和田にかけての堤防群もタチウオの好ポイントです。特に泉大津港の周辺や忠岡・岸和田の波止では、秋になると夜釣り客が増えタチウオの釣果情報が多く聞かれます。電車でも行きやすい場所があり、仕事帰りのアングラーも多数参戦します。大阪市内に比べて水質がややクリアで、ワインド釣法にも向いているのが特徴です。人出が多い日はウキ釣りの電気ウキがずらりと並び、ケミホタルの明かりが海面に美しく揺れる光景が見られます。人が多い=安心感もあり、初めての方はまずこうしたポピュラーな釣り場でデビューすると良いでしょう。
兵庫エリア
兵庫県側も大阪湾〜播磨灘にかけてタチウオの名所が数多く存在します。大型狙いの実績も高く、数・サイズともに期待できるエリアです。
- 神戸港・ポートアイランド – 神戸市のポートアイランド北公園や神戸空港島(通称・空港ベランダ)、さらに西側の和田防(通称・兵庫突堤)といったポイントは、関西でも指折りのタチウオ激戦区です 。シーズン中は平日でも多くの釣り人が訪れ、場所取り合戦になるほどの人気ぶり 。神戸エリアのタチウオは回遊が回ってくる時期が少し早く、早い年だと7月頃から釣れ始めます 。サイズも指4本〜5本クラスの良型が比較的多く、大型狙いにはもってこいです。常夜灯の下で狙えるポイントも多く、夜景を眺めながら快適に釣りができるのも神戸港の魅力。実績充分のエリアなので、初心者でもタチウオと出会える確率が高いでしょう。
- 明石周辺 – 明石市から垂水・須磨にかけての播磨灘エリアもタチウオの有名ポイントです。中でも大蔵海岸は超人気スポットで、秋の夜はタチウオ狙いの電気ウキの明かりがずらりと並ぶ光景が見られます。ここは明石海峡大橋を臨むロケーションで足場も整備されており、ファミリーから上級者まで幅広く楽しめる釣り場です 。さらに西の江井ヶ島や魚住といった波止場、東の平磯海づり公園なども実績があります。明石エリアは潮通しが良くベイトフィッシュも豊富なためか大型(ドラゴン級)の報告も多いのが特徴です。反面、潮流が速い日には釣りにくいこともあるので、初心者はなるべく穏やかな日に挑戦すると良いでしょう。明石周辺は人気ゆえ大混雑することもありますが、その分釣果情報も多く初心者でも釣りやすいエリアです。
和歌山エリア
和歌山県の沿岸は海水の透明度が高く、タチウオの活性が高いスポットが点在します。都会の喧騒を離れ、ゆったり釣りを楽しみたい人には和歌山方面もおすすめです。
- 加太(かだ) – 和歌山市の北西端に位置する加太エリアは、大阪府との県境近くにありながら自然豊かな釣り場です。加太港や周辺の波止では秋にタチウオが回遊し、地元の釣り人に親しまれています。水質がクリアで夜は非常に暗いため、ワインド釣法でのルアーのアピールが効果的とされています。実際、加太では夜光ワームやケイムラワームでの釣果報告が多く、エサ釣りと並んでルアー勢も活躍しています。観光地でもあるため足場も比較的良く、初めてでも挑戦しやすいスポットです。
- 海南 – 和歌山市の南方にある海南エリアもタチウオの隠れた好ポイントです。海南港や冷水浦(しみずうら)周辺の波止では毎年秋にタチウオが釣れ、多い人で数十本という釣果も出ています。大阪湾奥に比べると人出もほどほどで、のびのびと釣りができるのが魅力です。海水が澄んでいる日が多いので、エサ釣りでは電気ウキ+ケミホタルでしっかりアピールし、ルアー釣りではグロー系のワームで強めにアピールするなど工夫すると良いでしょう。終電を逃す場所なので車での釣行が基本となりますが、その分夜更けまで腰を据えて狙えます。常夜灯が少ない場所ではヘッドライトやランタンを用意して、安全第一で釣りましょう。
- 田辺 – 和歌山県南部の田辺湾周辺もタチウオの良型が釣れるエリアです。田辺の波止では地元で「サゴシ(サワラの幼魚)かタチウオか」と言われるほど秋の回遊魚シーズンが盛り上がります。透明度の高い外洋に面したエリアなので、ルアーに対する反応が非常に良いのが特徴です。ワインド釣法で大型タチウオを仕留めた例もあり、腕試しには最高のフィールドと言えます。田辺周辺はポイントによっては足場が悪いテトラ帯もあるため、初心者は港内の安全な岸壁から狙うと良いでしょう。遠征にはなりますが、観光がてら訪れてみる価値のある釣り場です。
初心者が気をつけたい安全対策と持ち物
秋の夜釣りでタチウオを釣る際は、楽しい釣りにするためにも安全対策と持ち物の準備を万全にしておきましょう。夜間は視界が悪く思わぬ危険もあります。以下に初心者が特に気をつけたいポイントをまとめます。
必須の安全アイテム
夜釣りにヘッドライト(頭灯)は欠かせません。足元や手元を照らすのはもちろん、周囲の釣り人に自分の存在を知らせる意味でも重要です。加えて、必ずライフジャケット(救命胴衣)を着用しましょう。堤防は足場が濡れて滑りやすく、万一海に落ちた場合ライフジャケットが命綱になります。最近は薄型で動きやすい自動膨張式のものもありますので、釣行時は必ず着用してください。服装は長袖長ズボンが基本で、できれば反射材付きのウェアやアームバンドを身につけると夜間でも視認性が高まり安全性が増します。他の釣り人の投光器や車のライトに照らされたときに光る素材は、自身の所在を知らせ事故防止につながります。シューズも滑りにくいものを選び、磯靴やスパイク付き長靴だとさらに安心です。
あると便利な持ち物
釣行には予備の仕掛けを多めに持って行きましょう。タチウオは歯が鋭いためハリス(ワイヤー)や針が傷んだり切られたりしやすく、根掛かりでのロストも起こります。ウキ釣りなら予備の電気ウキや電池、テンヤ釣りなら予備テンヤとワイヤーなどを用意しておくと、トラブル時にもすぐ対処できます。またケミホタルも数本余分に持参しましょう。発光時間が数時間なので、夜通し釣るなら途中で交換が必要です。釣れたタチウオを持ち帰る場合はクーラーボックスも必須です。タチウオは鮮度落ちが早い魚ですが、クーラーに入れて冷やしておけば美味しく持ち帰れますし、釣り場で釣れた魚を保管するのにも便利です。クーラーボックスは座って休憩する簡易イス代わりにもなります。さらにフィッシュグリップ(魚つかみ器)やプライヤーも用意してください。タチウオは冒頭で述べた通りカミソリのように鋭い歯を持ち、生きているタチウオを素手で触るのは大変危険です 。釣れたタチウオは暴れることも多いので、フィッシュグリップでしっかり掴んでから針をプライヤーで外すようにしましょう。手を直接歯に触れさせないことが鉄則です。可能なら耐刃性のあるフィッシンググローブを着用するとさらに安全です 。その他、夜は冷え込むこともあるので上着やカイロ、飲み物、予備のライト、応急処置道具なども持っていると安心です。
初心者は明るく人の多い場所で!
最後に安全面でもう一つ重要なのが、釣り場選びです。初心者の夜釣りデビューは、できるだけ街灯があり人が多い堤防を選びましょう。人が多い場所は敬遠されがちですが、夜釣りにおいては周囲に人がいる方が緊急時に助け合えますし、防犯上の安心感もあります。上述したような大阪湾の人気波止などは人通りがあり照明設備もあるため、安全に釣りやすい環境です。逆に誰もいない真っ暗な磯や波止はベテランでも危険が伴うことがあります。また、人が多い場所では周囲のベテランの釣り方を観察して学べるというメリットもあります。タチウオ釣りは地域ごとの“コツ”もあるので、まずは釣れている人の仕掛けや動作を見て参考にすると上達が早いでしょう。なお、混雑時はお互いの仕掛けが絡まないよう十分な間隔を取り、声掛け・挨拶をするなどマナーも忘れずに 。安全第一で余裕を持った行動を心がけ、楽しく釣りをしましょう。
まとめ
- 秋の夜釣りは関西の堤防でタチウオを狙う最高のシーズン! 8~11月頃はタチウオの接岸が盛んで、夕方から夜にかけて絶好のチャンスが訪れます。気候も良く釣りやすい時期なので、このシーズンを逃さず挑戦しましょう。
- 初心者は「仕掛け選び」と「時間帯」を押さえることが重要。 扱いやすいタックル(8~9ftロッド+2500~3000番リール)と実績ある仕掛け(ウキ釣りやテンヤ引き釣り)を用意し、夕まずめの時合いを逃さず狙うことが釣果への近道です。深夜の回遊や潮どまりも見逃さず、粘り強くチャレンジしてみてください。
- ワインド釣法をマスターすれば釣果が一気に伸びる! 初めは難しそうに感じるワインドですが、基本のシャクリ&フォールを習得すれば初心者でもタチウオを次々と釣ることが可能です。定番ルアーやカラーを揃えて練習し、大きなタチウオを仕留める爽快感をぜひ味わってください 。
- 安全対策を万全にして、楽しくタチウオ釣りデビューを! 夜釣りではライトやライフジャケットなど安全装備を整え、人が多い釣り場で無理のない範囲で楽しみましょう。タチウオの鋭い歯には十分注意しつつ 、釣り上げた暁にはぜひ美味しいタチウオ料理も堪能してください。秋の夜長、ぜひ安全第一でタチウオ釣りを満喫しましょう!
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